位牌とは
位牌の起源は、儒教の神主、あるいは木主であるという説と神道の霊代(みたましろ)(神や霊の依代とする説に大別される。
仏教そのものに作られてきたのではなく、中国において変化してきた歴史がある
中国の儒教では、先祖の在世中の官位や姓名を栗木に書いた神主または木主を神霊に託する風習があった。中国仏教では、この風習を祈願・供養・葬儀の時に取り入れていた。特に強力な王権のものとに発達した中国禅宗では、皇帝の聖寿万歳を祈願するにあたって、中央に皇帝万歳。左に皇后斉年 右に太子千秋の碑を仏殿本尊の前に並置した。これを元朝禅刹三牌式という。
また宋代の禅僧は、亡者を入棺3日後、講堂の須弥壇に移し、亡者の法名を記した位牌を祭りの席に安置している。このように、中国の習俗と仏教が合わさって、位牌の文化が生まれてきた。
この中国禅宗が南北朝のころ、栄西・道元によって我が国に伝えられ、平安仏教の天台・真言・南都仏教の難解な教理や上流階層を中心とした祈祷に不満を感じた武士階級は、この禅宗におけるわかりやすい生死出離の法に深い関心を寄せると共に、その葬法に力点をおいた。
以来、禅宗の葬法は他宗のに大きな影響を与えることになった。とりわけ、位牌は、各宗派の取り入れるところとなり、僧俗間に広く吹く普及した。
日本における起源は、応永15年(1408年)に亡くなった足利義満の葬送記に位牌を立てたと記載があることからこのころからであると推測される。
位牌の種類と形式
順修牌と逆修牌
これは、順修とは、亡くなってから作るものに対し、逆修とは、生前に作るものである。
死者の供養のために作られるものと、生前に作って菩提功徳を修する。この場合位牌の戒名に朱を入れることから寿牌とも言っている。
よく見かけるのは、お墓である。お墓の戒名や名前が朱で書かれているのを見かけることもあるでしょう。これは、寿陵といって生前にお墓を立てた方、もしくは、生前に刻んだ場合をいいます。
通常七分獲一(しちぶんぎゃくいつ)といって、七分の一亡者に功徳があるとされますが、七分全得(しちぶんぜんとく)といって、すべての功徳がその方に集まるといわれ、とても縁起が良いこと、延命長寿につながるといわれています。
葬儀と位牌
家庭の仏壇に安置する位牌を内位牌、永代供養のためにお寺に預けられる寺位牌がありますが、葬儀の時には白木位牌を用います。
室町期のころ、死後の白木位牌は、生気を象徴する桑の木で作られるので桑主といい、四十九日には焼かれて、帰西を象徴する栗の木で作られる栗主に書き換えるとされている。
葬式に作る白木は、ごく粗末なもので、出棺にやっと間に合わせるものでした。
現在では、専門の業者が準備をして、枕経を上げるときに僧侶が戒名を書いて死者の枕元に置くようにありました。
土葬が行われていた農村では、白木の内位牌と野位牌を作り、内位牌は葬儀の時に薄絹をかぶせ、祭壇に置き、引導の時に薄絹を取り除くという。
野位牌は、葬列の時に相続人か、血のつながりの濃い人が持って棺の近くに行き、墓所に供えられる。
その後、墓所の野位牌は、四十九日で焼かれるか墓に埋められ、内位牌は黒塗りの立派な位牌に魂がえされ、白木位牌はお寺に納めお焚き上げされる。