仏壇とは
仏壇とは、本来、寺院内に仏像(如来、菩薩などを安置して礼拝し、供物をささげたりする、周囲より一段高くなった場所の事です。
中世まで仏壇と呼ばれていたこの場所は、近世に入ると「須弥壇」と呼ばれるようになります。
仏教の宇宙観では、巨大な山「須弥山」が宇宙の中心をなし、そこに帝釈天が所在するとされていますが、須弥壇はこの須弥山をかたどったものといわれています。
代わりに、各家にあって、本尊や戒名がかかれた位牌を安置する厨子または宮殿型のものを仏壇というようになり、現在に至っています。
各家に置かれる現在の仏壇の起源は、平安時代の貴族社会における持仏堂、仏間の建立にあるといわれます。
鎌倉時代以降、禅宗が広まると共に位牌が流行し、常設の位牌棚となり、位牌の安置所としての仏壇が発生したものと思われます。
仏壇受容の背景には、民族としての発展した神棚・正月棚・盆棚などの影響もあったと思われます。
各家庭に仏壇が設けられるようになったのは、江戸時代中期の寺壇制度確立以降の事です。
各家に仏壇を祀ることは、仏教徒としての証であり、そこに菩提寺の和尚様が棚経にまわる。
仏壇の機能
仏壇は、先祖を祀る場であり、家の精神的結合の場であるといわれます。
しかし、仏壇は単に一般的な先祖供養のためのものではありません。
33回忌あるいは、50回忌でとむらい上げして、故人の位牌を先祖代々の位牌に合祀するまでの間は、死者個々の供養の場であり、さらには、真宗教団では、「お内仏」といわれるように勤行の場でもあります。
ちなみに、浄土真宗では、位牌を用いないため、戒名(真宗では法名)を過去帳に記載します
近年、葬儀後の悲しみにある遺族が仏壇を通して死者と対話することは、その悲しみを癒していくのに有効であります。
仏壇をグリーフケアの代わりとして見直されています。
また、子供の情操教育において、先祖を無き者にするのではなく、仏壇を通して、先祖がご自宅に祀られていると考えることは、先祖への畏敬の念が尽きず、感謝の心が芽生えて来るものであります。
子供のころ、何かお土産をもらったりしたときに、必ず「まんまんちゃんあん」してきなさいと言われたのも、
まずは、先祖にお供えをして、そのあとで私たちがお福分けを頂戴するという感謝の思いになるのであるのもうなずける。
宗派による仏壇の分類
明治時代以降、仏教の宗派が確立すると、本山様式が仏壇に取り入られるようになります。仏壇は、菩提寺の本堂を形どった出張所という考え方であり、菩提寺の本尊と同じ仏様を安置します
八宗用
仏壇内の本尊・仏具は違いますが、仏壇の形が八宗 天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗(東)・浄土真宗(西)・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗 共通のものです。禅宗様式の須弥壇・宮殿の屋根が千鳥破風で軒は唐破風であるのが一般的です。塗り仏壇・唐木仏壇があり、最も多く使用されています。
お西用
浄土真宗本願寺派(お西)用の仏壇は、宮殿の屋根は八宗用と同じく千鳥・唐破風ですが、柱は金箔です。
お東用
真宗大谷派(お東)用は、宮殿は東本願寺阿弥陀堂を模し、屋根が二重唐破風で、柱は黒塗りです。
日蓮正宗用
須弥壇の上に厨子を置き、厨子に開閉できる扉がついています。戦後に考案されました。
各宗派のまつり方の特徴
天台宗の仏壇
本尊に指定はありませんが、菩提寺の本尊が阿弥陀如来であれば、阿弥陀如来を安置します。脇掛けを祀る場合には、向かって右に天台大師・左に伝教大師(最澄)中断の脇掛の下に位牌を、遠い先祖が向かって右、近い先祖が左になるよう順に安置します。
真言宗の本尊
真言宗の本尊は、「大日如来」です。
仏像の場合と、仏画の場合があります。
どちらでも構いませんが、仏壇の大きさや形状に合わせて求められるといいでしょう。
本尊の右脇に 弘法大師 空海 左脇に不動明王 や両界曼荼羅をお祀りする場合もあります
豊山派では、本尊に金剛界大日如来 右に光明曼荼羅
智山派では、本尊に金剛界大日如来 右に弘法大師 左に興教大師
左から遠い先祖をお祀りします
浄土宗の本尊
浄土宗の本尊は「阿弥陀如来」です
浄土宗の本尊は、坐像(座った阿弥陀様が多くあります)
仏像でも仏画でも構いませんが、釈迦如来と似ているので注意が必要です。
違いは、阿弥陀定印といって、OKサインをした手が、座禅の時のようにおへその下にあります。
阿弥陀三尊として右脇に観世音菩薩 左脇に勢至菩薩をお祀りする場合もあります
また、右に善導大師 左に和順大師(法然)の場合も。
右側から遠い先祖をお祀りします
浄土真宗の本尊
浄土真宗の本尊は「阿弥陀如来」
本来、浄土真宗では、仏像よりも名号「南無阿弥陀仏」と書いた掛け軸をまつります。
最近では、仏像(立像)を祀るケースがおおくあります。
右脇には 帰命尽十方無碍光如来 または親鸞聖人
左脇には 南無不可思議光如来 または蓮如上人
右の手を上に、左の手を下にした立像です。
また、立像の後輩が亀の甲羅のようにある場合は「浄土真宗本願寺派(西)」
甲羅がないのが「浄土真宗大谷派(東)」
といわれています。浄土真宗でも東西だけでなく、高田派や興正派など分派されていますので、注意が必要です。
鶴亀の燭台は東(大谷派)で使用されます。
原則は、位牌を用いず、過去帳や法名軸に列記します
曹洞宗の本尊
曹洞宗の本尊は「釈迦如来」です。
右脇に 道元禅師 左脇に瑩山禅師
立像でも坐像でも良いようです。過去帳は下段中央に安置
右側から遠い先祖をお祀りします。
臨済宗の本尊
臨済宗の本尊は「釈迦如来」です
右脇に達磨大師 左脇に 観世音菩薩
曹洞宗と同じで、立像でも坐像でも構いません
日蓮宗の本尊
日蓮宗は、ひげマンダラといわれる日蓮上人がかかれた「南無妙法蓮華経」という大曼荼羅を本尊に前に日蓮上人像
右に大黒天 左に鬼子母神
右側から遠い先祖をお祀りします。
仏具について
三具足とは、
香炉(線香)・燭台(ろうそく)・花立(花瓶)の事を言います。
通常 中央に香炉 右に燭台 左に花瓶です。
五具足について
五具足とは、中央に香炉 左右に一対で 燭台 一対で花瓶をいいます。
正式な法事では、五具足が丁寧な方法とされています。